道は、まだ北へ続いている。

直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、写真や音楽のこと。思いつくまま、ここに書いています。
直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、
北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、
写真や音楽のこと。
思いつくまま、ここに書いています。

道の駅の向こう側 #1|ロイズ ローズガーデン

今日の行き先

訪問日:2026年6月22日(月)
場所:札幌市北区あいの里
天候:曇り
移動手段:BMW 320d
カメラ:Sony α7 V / FE 24-70mm F2.8 GM II

今日向かったのは、ロイズ ローズガーデン。道の駅ではない。でも、これが『道の駅の向こう側』の第1話でいいと思った。バラが咲いているうちに、行っておきたかった。

出発

曇り空だった。雨の気配はなかったが、光は薄く、空全体がひとつの色をしていた。

BMWのエンジンをかける。アイドリングの音が静かに広がって、すぐに街の音へ溶けていく。シートに深く座り直す。背中にエンジンの振動がわずかに伝わってくる。窓の外、札幌の街はまだ朝の続きの中にあった。

道中の景色

石狩方面へ向かう道は、信号が多い。それでも、走っていると少しずつ建物が低くなり、空が広くなる。田んぼが現れ始める。水を張ったばかりの水面が、曇り空をそのまま映していた。水鏡の中に、電線が一本、まっすぐ伸びていた。

北海道の空は、曇っていても広い。それだけは変わらない。

走りながら考えたこと

バラを見に行く、という行為について考えていた。

手術の前、そんな気持ちになることはなかった。忙しかったのか、余裕がなかったのか。たぶん両方だ。

花を見に行く。ただそれだけのことが、今はちゃんと理由になる。目的地があるだけで、外へ出る理由になる。それで十分だと、今は思う。

ロイズ ローズガーデンに到着

ピンクのバラに囲まれたROYCE'の看板

駐車場に車を止めて、外に出る。空気が違った。甘い、というより、濃い。

ROYCE'の黒い看板が、ピンクのバラに埋まっていた。これが入口だと気づくのに、少し時間がかかった。

平日の午前中だったが、カメラを持った人が何人かいた。みんな、それぞれのバラの前で足を止めていた。バラの前では、みんな無口になる。

バラ園を歩く

ロイズ ローズガーデンのバラに囲まれたレンガの小道とアーチ

レンガの小道が、奥へ続いている。両側からバラが迫ってくる。

足を止めるたびに、別の色が目に入る。

紫、白、深紅、ピンク。それぞれが好き勝手に咲いていて、整然としているようで、していない。

ロイズ ローズガーデンに咲くピンクのバラ

カメラを構え、まずは目の前の色を拾ってみる。

曇り空が、花の色を均等に受け止めていた。

強い光はない。影も薄い。そのかわり、花びらの色が静かに残る。

ロイズ ローズガーデンに咲く濃いピンクのバラ

晴れた日に来ていたら、たぶん違う写真になっていた。

木に打ちつけられた青白の巣箱を見つけた。塗料が剥げかけていた。

ロイズ ローズガーデンの木に取り付けられた青と白の巣箱

何年ここにあるのだろう。誰かが作って、誰かが取り付けた。

それだけのことだが、なぜか目が離せなかった。バラに囲まれた場所に、鳥のための小さな家がある。それが妙に、よかった。

今日の一枚

ロイズ ローズガーデンのバラのアーチとレンガの小道

バラのアーチをくぐる、レンガの小道。奥にまた別のアーチが見える。その先にも、花がある。

曇り空が光を均して、影をなくしていた。だから奥行きが、すっと伸びた。花を撮っているはずなのに、気づけば道の先を見ていた。アーチの向こうに、何があるのか。そればかり、気になっていた。

晴れていたら、この写真は撮れなかったかもしれない。

道の駅の向こう側

バラは毎年咲く。でも去年、自分はここに来なかった。来られなかったのか、来なかったのか、もう区別がつかない。今年、来た。それだけのことだ。

アーチをくぐるたびに、次のアーチが現れた。終わりがあるようで、なかなか終わらない。バラ園を出るとき、少しだけ振り返った。花は、こちらを見ていなかった。ただ咲いていた。来年も、再来年も、たぶんここで咲いている。自分がどこにいても、関係なく。

それでいい、と思った。そういう場所だった。

エンジンをかける。バックミラーの中で、バラ園が少しずつ小さくなる。

今日の景色をひとつ持ち帰る。

道は、まだ北へ続いている。

 

 

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道の駅の向こう側 #2|北欧の風と、低い空

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