道は、まだ北へ続いている。

直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、写真や音楽のこと。思いつくまま、ここに書いています。
直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、
北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、
写真や音楽のこと。
思いつくまま、ここに書いています。

道の駅の向こう側 #5|にしん街道の先へ

今日の行き先

訪問日:2026年6月26日(金)
場所:厚田郡厚田村
天候:曇り
移動手段:BMW 320d
カメラ:Sony α7 V / FE 24-70mm F2.8 GM II

今日は厚田へ向かった。

空は重かった。雨が降りそうで、まだ降らない。青空はなく、雲だけが海の方へ低く垂れていた。

晴れた日の日本海は、もっと明るいのだろう。けれど、この日の厚田には、曇りの日にしか見えない色があった。派手ではない。少し湿っていて、少し静かだった。

橋を渡る

厚田へ向かう途中、橋を渡った。

橋の上には車が流れ、下には川と緑が広がっていた。

曇り空の下を流れる川と長く伸びる橋

空は低く、橋の白い塔も、どこか曇り空に沈んで見えた。

道は海の方へ続いている。札幌からそう遠い場所ではない。それでも、橋を渡ると景色が少し変わる。街の道から、海へ向かう道になる。山へ向かう時とは違う、少し湿った空気があった。

曇り空の海

少し走ると、海と丘が見えてきた。

海は明るくなかった。遠くの風車も、雲の下でかすんでいた。丘の緑が重なり、道がその間を抜けていく。町は小さく、海は広い。

車を停めて眺めていると、厚田という場所が、少しずつ近づいてくるようだった。

曇り空の下に広がる海沿いの集落と丘陵

雨の前の空は、重くて静かだった。

にしん街道

日本海を望むにしん街道の標柱

海を見下ろす場所に、木の柱が立っていた。

にしん街道。

その文字を見た時、ここがただの海沿いの町ではないことを思い出した。

昔、この海には多くの人が集まり、船が出て、魚が揚がり、暮らしが動いていたのだろう。今は静かでも、海のそばには時間が残っている。

木の柱は、少し古びていた。雨や風にさらされながら、海の前に立っている。にしん街道の先には、観光地の明るさよりも、港町の静けさがあった。

道の駅

道の駅 石狩「あいろーど厚田」に着いた。

日本海沿いに立つ道の駅石狩あいろーど厚田

建物の前にはバイクが並んでいた。曇り空でも、海沿いの道を走る人はいる。

道の駅は、海を見下ろす斜面に建っていた。道路の赤と青の表示が、曇った風景の中で少しだけ色を持っていた。

ここは目的地でもある。けれど、気持ちは建物の中よりも、その先にある海と、坂を下ったところにある港へ向いていた。

スタンプ:取得

港の色

厚田港へ降りた。

浮き玉のピンク、赤、オレンジ。竹の棒。結ばれたロープ。使われている道具には、きれいに並べられたものとは違う強さがある。

海で使われ、風に当たり、雨に濡れてきた色だった。曇り空の下で見ると、その色は少しだけ鮮やかに見えた。

港の奥は静かだった。テトラポッドの上に、カラスが一羽止まっていた。

漁港の岸壁と積み上げられた消波ブロック

水面は小さく揺れていた。岸には太いロープが置かれていた。

波の音。遠くの車の音。風が抜ける音。

港には、働く場所の気配がある。誰かがここで船を出し、道具を直し、また海へ向かう。写真を撮りながら、そのことを少し考えた。観光地とは違う時間が、ここにはある。この日の曇り空には、この静かな港がよく合っていた。

今日の一枚

漁港に積まれた竹竿と色とりどりの浮き

今日の一枚は、浮き玉の写真にしたい。

曇り空の中で、港の道具だけが少し色を持っていた。

厚田を紹介するなら、海を見下ろす写真の方が分かりやすいのかもしれない。けれど、心に残ったのは、港の片隅に置かれていた道具だった。

ただ眺めるだけの景色ではなく、暮らしのそばにある海。厚田は、そういう場所だった。

道の駅の向こう側

帰り道、空は相変わらず重かった。それでも雨は降らなかった。海は最後まで、青くはならなかった。

橋を渡り、丘を越え、にしん街道の文字を見て、港へ降りた。今日見たのは、晴れた観光地の厚田ではなかった。曇り空の下の厚田だった。

にしん街道の先には、静かな港があった。そこに立つと、海のそばまで来たことが分かった。

エンジンをかける。バックミラーの中で、厚田の海が少しずつ遠ざかる。今日の景色をひとつ持ち帰る。

道は、まだ北へ続いている。

 

 

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