道は、まだ北へ続いている。

直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、写真や音楽のこと。思いつくまま、ここに書いています。
直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、
北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、
写真や音楽のこと。
思いつくまま、ここに書いています。

道の駅の向こう側 #6|恵庭渓谷、水の音を追って

今日の行き先

訪問日:2026年6月27日(土)
場所:恵庭市
天候:晴れ
移動手段:BMW 320d
カメラ:Sony α7 V / FE 24-70mm F2.8 GM II

今日は、恵庭へ向かった。

道と川の駅 花ロードえにわ。そして、その先にある恵庭渓谷。白扇の滝と、ラルマナイの滝。

前日の雨が、まだどこかに残っているような日だった。空は明るい。けれど、森の中には湿った空気が残っている気がした。

道と川の駅

青空の下に立つ道と川の駅 花ロードえにわ

最初に立ち寄ったのは、道と川の駅 花ロードえにわだった。

三角屋根の建物が、青空の下に立っていた。窓には空が映り、看板の文字もよく見えた。

ここは道の駅であり、川の駅でもある。その名前だけで、今日向かう場所の方向が少し見えた気がした。道を走り、川へ近づき、水の音のする方へ行く。

いつものように、道の駅は目的地でもあり、出発点でもあった。

道道117号線を走る

花ロードえにわを出て、道道117号線に入る。

道は少しずつ山の方へ向かっていった。ゆるいカーブが続く。ワインディングロードというほど大げさではない。それでも、ハンドルを切るたびに、少しだけ血が騒ぐ。

BMWも、「昔みたいに踏んだらどうだ」と言っているような気がした。この歳になってまで、何をさせる気だ。心の中でそう返しながら、アクセルは踏みすぎないようにした。

若い頃なら、もう少し違う走り方をしていたのかもしれない。けれど今は、道の先に何があるのかを見に行く方がいい。速く走るより、景色を持ち帰る方が大事になった。

森の道

車を降りると、森の匂いが濃かった。

雨上がりの匂いだった。土の匂い。濡れた葉の匂い。木の幹から立ち上がるような、少し甘くて湿った匂い。

新緑に包まれた恵庭渓谷の遊歩道

歩き出すと、空気が体にまとわりついてくる。羽虫も元気だった。顔のまわりを小さく飛び回る。でも、雨上がりの森では、そういうものまで含めて生きている感じがした。

森の道は、奥へ続いていた。頭上には葉が重なり、ところどころに木漏れ日が落ちていた。そこへ向かって歩いていくと、少しずつ水の音が大きくなっていった。

まだ滝は見えない。けれど、水の音だけが先に来ていた。

白い水

恵庭渓谷の森を勢いよく流れる川

水の音は、近づくほどに大きくなった。

川は岩の上を滑るように流れ、白くほどけながら落ちていく。勢いを持ち、音を持ち、森の中で白くなる水だった。

カメラを構える。水は止まらない。けれど写真の中では、白い布のように残る。

白扇の滝

新緑の森に囲まれて流れ落ちる恵庭渓谷の白扇の滝

白扇の滝は、森の奥で白く落ちていた。

木々の間から見る滝は、こちらが滝に向かっているというより、森の隙間から、たまたまその姿を見せてもらっているようだった。

滝の音は大きい。けれど、不思議とうるさくはなかった。止まらない音なのに、そこにいると少し落ち着く。

水が落ちる。岩に当たる。また流れていく。ただそれだけのことを、しばらく見ていた。

森の時間

滝のそばには、苔に覆われた切り株があった。

恵庭渓谷の森にある苔と若葉に覆われた切り株

朽ちた木の上に、小さな葉が伸びていた。苔がつき、緑が重なり、木はそのまま森の一部に戻っていく。

終わったものが、すぐに消えるわけではない。滝の水は動き続けている。そのすぐそばで、切り株は動かないまま、ゆっくり変わっていた。

ラルマナイの滝

深い森の中を流れ落ちる恵庭渓谷のラルマナイの滝

最後に、ラルマナイの滝を見た。

水は岩の上を滑るように落ちていた。上流には倒木があり、岩肌は黒く濡れていた。整えられた景色というより、森の中にそのまま残っている水の道のようだった。

水は白く、岩は黒い。その対比が、森の緑の中で静かに浮かんでいた。

ここまで来ると、道の駅にいた時の青空が少し遠く感じられた。あの明るい建物から、森へ入り、水の音を追って、ここまで来た。

今日の一枚

今日の一枚は、ラルマナイの滝にしたい。

水の音を追って歩いた、その先にあった滝だった。滝そのものより、そこへ向かうまでの道が残っている。

道の駅の向こう側

帰り道、森の匂いはまだ体に残っていた。

行きに少し血が騒いだカーブも、帰りは静かに抜けた。BMWは相変わらずよく走る。でも今日は、踏むよりも、持ち帰るものの方が多かった。

水の音。濡れた葉の匂い。顔のまわりを飛ぶ羽虫。白く流れる水。苔に覆われた切り株。

近い場所でも、まだ知らない景色がある。

エンジンをかける。バックミラーの中で、恵庭渓谷の緑が少しずつ遠ざかる。今日の景色をひとつ持ち帰る。

道は、まだ北へ続いている。

 

 

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