道は、まだ北へ続いている。

直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、写真や音楽のこと。思いつくまま、ここに書いています。
直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、
北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、
写真や音楽のこと。
思いつくまま、ここに書いています。

闘病の夜も、ツーリングの夜も、レコードを聴いていた

治療をしていた頃、家にいる時間が長かった。

出かけられる日は限られていて、体調には波があった。何をするでもなく、ただ横になっている時間も多かった。

そんな時間に、レコードをよくかけていた。

The Clash。Kate Bush。ABBA。The Beatles。

針を落とす。少し音が擦れる。それから、音楽が始まる。

治療の副作用で何もする気になれない日でも、レコードをかけるという行為だけは、なぜか続けられた。

選ぶ。針を落とす。ジャケットを眺める。

それだけのことが、その日一日の中で、唯一自分で選んだことのように感じられた。

バイクに乗るようになってからも、この習慣は変わらなかった。

ツーリングから帰ってきた夜、シャワーを浴びて、少し落ち着いた頃に、また同じようにレコードをかける。

走っている間に見た景色。風の匂い。エンジンの音。

そういうものがまだ身体の中に残っている状態で、針を落とす。

治療中の夜も、ツーリングの夜も、やっていることは同じだった。

レコードを一枚選んで、聴く。

それだけだ。

このブログでは、これまでストーマのことや、バイクのこと、北海道を走った日のことを書いてきた。

装具の話。タイヤの話。外出するときの持ち物の話。

できるだけ、自分で使ったもの、自分で経験したことを書くようにしてきた。

だから、レコードの話は書いてこなかった。

書く場所が違うと思っていた。

けれど、考えてみれば、生活の中では何も分かれていなかった。

治療中にも聴いていた。走った夜にも聴いていた。

それでも、この習慣について、まったく書かなかったわけではない。

そんな時間のことを、私は別の場所で少しずつ書いてきた。

「レコード棚から一枚」という連載だ。

レコード棚から一枚 note連載バナー

レコードを一枚選び、その記憶を書く。

それだけのシリーズを、noteで20話続けてきた。

治療の合間にも、ツーリングの夜にも、変わらず書き続けてきた連載だった。

「レコード棚から一枚」では、見出しをつけず、もう少し静かな書き方をしてきた。

21話目からは、その続きを「針と再生」という名前で、ここに置くことにした。

これまで、ここで書いてきたものとは、少し呼吸が違う。

それでいいと思っている。

装具の話も、タイヤの話も、レコードの話も、結局は同じ生活の中にある。

分野で区切られているわけではない。

走る日も、走らない日も、レコードは変わらずそこにある。

その時間のことを、これからは、ここにも置いていく。

 

 

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