道は、まだ北へ続いている。

直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、写真や音楽のこと。思いつくまま、ここに書いています。
直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、
北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、
写真や音楽のこと。
思いつくまま、ここに書いています。

道の駅の向こう側 #10|暗い水槽と、はじめてのMモード

今日の行き先

訪問日:2026年7月12日
場所:千歳市
天候:雨
移動手段:BMW 320d
カメラ:Sony α7 V / FE 24-70mm F2.8 GM II

サーモンパーク千歳 外観

今日は、サーモンパーク千歳へ向かった。

今回の目的は、道の駅だけではない。隣接する千歳水族館で、初めてMモードを試してみるつもりだった。

α7 Vを買って、まだ一か月ほど。まだよく分かっていないことばかりである。バイクや装具のことなら、少しずつ自分の言葉で語れるようになってきた。だが、カメラに関しては、まだ何を分かっていないのかすら分かっていない段階だ。

隣接する千歳水族館には、暗い水槽がいくつも並んでいる。これは、Mモードを試すにはいい機会だと思った。

雨の日で、外を歩き回るには向かない天気だったのも、ちょうどよかった。屋内で、じっくりカメラと向き合える一日になりそうだった。

Mモードという壁

カメラの設定をどうするか。何せ、買って一か月だ。

よく分かっていない。

いろいろ調べると、絞りは開放のF2.8にするものらしい、というのは想像がついた。ここまでは、なんとかなる。数字が一つに決まるというのは、分かりやすい。

問題は、ISOだった。

数値を上げれば、暗いところでも写る。そこまでは調べて分かった。

だが、では数値はいくつなのか、というのが分からない。

100なのか。
1600なのか。
6400なのか。

基準になるものが、何もない。ネットで調べても、「状況に応じて」としか書いていない。状況に応じて、が一番困る。

結局、ISOはオートにした。設定画面をよく見ると、オートの中でも上限と下限を変えられるようだ。

オートなんだから、いじらせるな。

そう言いたくなった。決められないから、オートに任せているのだ。その上でまた何かを決めさせられるというのは、本末転倒ではないか。

サーモンパーク千歳 千歳水族館 暗い館内

大きなカメラを持っているのは、自分だけだった

館内で撮影しながら、ふと思った。

こういう大きなカメラを、世間では一眼レフと呼ぶことが多い。正しくはミラーレスなのだろうが、普通の人にとっては、どちらでも構わないのかもしれない。

それより気になったのは、大きなレンズをつけた大きなカメラで写真を撮っている人が、周りを見渡しても自分だけだったことだ。

みんな、スマホで撮っている。少し前の私も、そうだった。

みんな笑顔で、楽しそうに撮っている。子どもを抱っこしながら、水槽を指さして何か話している家族もいる。彼らのスマホの中には、きっと屈託のない笑顔の写真が残っているのだろう。

サーモンパーク千歳 大水槽 群れで泳ぐ魚

それに比べて、私はどうだ。

おそらく、しかめっ面をして、ブツブツ独り言を言いながら撮っていたのだろう。自覚症状はない。だが、ガラスに映った自分の姿を見たとき、少し笑ってしまった。真剣な顔をした中年男が、魚を睨みつけている。

写真を趣味にしようと思って、カメラを買った。それなりの値段がした。

バイクで言えば、オーリンズのサスペンションより、はるかに高い。

好きで買ったのだから、笑顔が出るはずだ。

でも、一度も出なかった。

これは、そういうことなのだろうか。

正直、よく分からない。趣味というものが、必ずしも笑顔とセットである必要はないのかもしれない、とも思う。

優秀なはずのオートフォーカス

SONYはオートフォーカスが優秀だという文章を、SNSやブログでよく見かけた。

優秀の意味はよく分かっていなかったが、被写体を勝手に追い続けてくれるのだろう、と想像していた。

だが、フォーカスの四角い枠は、うんともすんとも言わず、真ん中でじっとしている。

シャッターボタンを半押しにしたり、しなかったり、いろいろ試した。たまに、自分で魚を追いかけてみたりもした。

すると、魚の目に、小さな四角がすっと集まることがあった。

千歳水族館 オショロコマ 水中撮影

これが、SONYのいう「追い続ける」というやつなのか。

そう思った次の瞬間には、別の魚へ移っていた。

魚が多すぎる。

カメラも迷っているのかもしれない。目移りしているのは、私だけではなかったらしい。水槽の中を泳ぐ魚の数だけ、選択肢がある。その中から一匹を選び、ピントを合わせ続けるというのは、思っていたより難しい作業だった。

確認は、家に帰ってから

うまく撮れたのか、その場で確認したかった。

だが、後ろには他の観光客も多い。立ち止まって画面を確認していると、後ろの人の邪魔になる。

確認は、家に帰ってからにしようと決めた。

駄目なら駄目で、仕方がない。

そう割り切った。この割り切りも、少しずつ身についてきたものだと思う。以前の自分なら、その場でもっと粘っていたかもしれない。

千歳水族館 魚のクローズアップ

千歳水族館 熱帯魚 エンゼルフィッシュ

いつもの道の駅

水族館を出ると、道の駅はいつもの賑わいだった。

地元の農産物、加工品、テイクアウトのパン。どこも同じような品揃えなのに、なぜか毎回一通り見て回ってしまう。

売店を眺め、スタンプを押した。

これは、忘れてはいけない儀式である。

道の駅の向こう側

暗い水槽の中で、Mモードと格闘した一日だった。ISOも、オートフォーカスも、正直まだよく分かっていない。

それでも、魚の目に小さな四角が集まった瞬間、少しだけ分かった気がした。

分かったことより、分からないことの方が多かった。

それでも、昨日まで知らなかったMモードで、今日は魚を撮った。

帰り道、スターバックスに寄った。マグカップを撮った一枚は、結局Pモードだった。

スターバックスのマグカップ

Mモードには、まだ敗れたままだ。

エンジンをかける。

今日の一枚が、うまく撮れているといいのだが。
それは、家に帰ってからのお楽しみだ。

道は、まだ北へ続いている。

 

 

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