術後補助化学療法として、CAPOX療法が始まった。
手術をするわけではない。入院期間も4泊5日だった。
だから、前回の手術入院ほどはかからないだろう。そう思っていた。
ただ、実際にいくら必要なのかは分からなかった。
ネットで「CAPOX療法 入院費用」「オキサリプラチン 初回入院 費用」などと調べても、治療内容の説明は見つかるが、窓口で実際に支払った金額はなかなか出てこない。
個室料金や診断書などの文書料は、これまでの入院経験からある程度計算できた。
分からなかったのは、抗がん剤治療そのものに、いくらかかるのかだった。
結果として、今回窓口で支払った金額は、
145,860円
だった。
入院の基本情報
今回の条件は、次のとおりだった。
- 入院期間:2026年7月23日から27日まで
- 入院日数:4泊5日
- 治療:CAPOX療法1クール目
- 投与:オキサリプラチン初回投与
- 健康保険:協会けんぽ
- 負担割合:本人3割負担
- 病室:個室
事前の外来で治療方針の説明を受けた際、看護師から個室と多人数部屋のどちらを希望するか聞かれた。
これまでの入院は、すべて個室にしてきた。
今回も個室を選んだ。
初めて受ける抗がん剤だったため、どのような副作用が、どの程度の強さで出るのか分からなかったからだ。
吐き気で動けなくなるかもしれない。眠れないかもしれない。ストーマからの排泄が増える可能性もある。
実際には、鼻水やしゃっくり、断続的な下痢など、事前に自分が想像していなかった症状が出た。
結果的に、周囲を気にせず休める個室を選んでよかったと思っている。
もちろん、費用のことも頭をよぎった。
ただ、入院費用を補償するがん保険に加入していたため、その点ではいくらか気が楽だった。
退院日の朝に請求書が届いた
退院日の朝、8時30分ごろだった。
病棟の事務担当者が、請求書を病室へ持ってきた。
請求書に記載されていた総点数は、
26,437点
だった。
診療報酬は原則として1点10円なので、保険診療分の総額は、単純計算で26万4,370円になる。
もちろん、その全額を窓口で支払うわけではない。
請求書を見た瞬間の感想は、
「やっぱり、これくらいはくるよな」
だった。
高いと驚いたわけでも、思ったより安いと安心したわけでもない。
事前に金額の目安がつかめていなかったため、請求書を見て初めて、今回の治療費が具体的な数字になった。
実際に支払った金額の内訳
請求書の内訳は、次のようになっていた。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 医療費自己負担 | 79,310円 |
| 食事療養費 | 6,050円 |
| 保険診療分計 | 85,360円 |
| 差額ベッド代 | 50,000円 |
| 文書料 | 5,000円 |
| 消費税 | 5,500円 |
| 保険適用外計 | 60,500円 |
| 支払総額 | 145,860円 |

窓口で支払った145,860円のうち、医療保険の自己負担額は79,310円だった。
そこに食事療養費6,050円が加わり、保険診療分などの小計は85,360円となった。
残りの60,500円は、個室料金と文書料、それに対する消費税だった。
つまり、今回の支払額の約4割は、抗がん剤治療そのものではなく、保険が適用されない部分だった。
「CAPOX療法の入院費用はいくらか」と聞かれたとき、単純に145,860円とだけ答えると、少し誤解を招く。
個室を利用せず、文書の発行もなければ、今回の窓口負担は大きく変わる。
一方で、実際に退院時に必要だった金額という意味では、145,860円が自分の答えだった。
マイナ保険証で、今回も限度額が適用された
限度額適用認定証は、今回も事前に申請していない。
過去2回の入院でも、マイナ保険証を利用することで、保険診療分の窓口負担は所得区分に応じた自己負担限度額までに抑えられていた。
今回も同じだった。
マイナ保険証を利用し、限度額情報の提供に同意したことで、限度額適用認定証を別途用意しなくても、窓口での支払いは自己負担限度額の範囲に収まっていた。
この仕組みの便利さは、すでに過去の入院で実感している。
高額な医療費をいったん支払い、あとから申請して還付を受ける形ではなく、最初から窓口負担を限度額までに抑えられる。
今回の請求書でも、その仕組みが同じように機能していた。
なお、自己負担限度額は、年齢や所得区分によって異なる。
また、差額ベッド代、食事療養費、文書料などは、高額療養費制度の対象外となる。
したがって、今回の79,310円や支払総額145,860円が、ほかの人にもそのまま当てはまるわけではない。
医療費と個室代は別だった
今回、改めて分かりやすかったのは、
医療費と個室代は別物である
ということだった。
差額ベッド代は、健康保険の対象外だった。
今回の個室料金は、1日あたり1万円。5日分で5万円だった。
自分の希望で個室を選び、事前に料金の説明も受けている。
そのため、この金額について病院側に思うことは特にない。
副作用が出たときに、人目を気にせず横になれた。ストーマの処理もしやすかった。夜中に鼻水が止まらなくなったときも、周囲への音を過度に気にせずに済んだ。
自分にとっては、単なるぜいたくではなく、治療を受けるための環境を整える費用だった。
ただし、医療費の記事では、この保険適用外の部分が抜け落ちやすい。
「自己負担額は8万円ほどだった」と書けば、医療保険の自己負担額については間違っていない。
しかし、実際に退院時に必要だったのは、14万円を超える金額だった。
入院費用を準備する際には、医療費だけでなく、
- 差額ベッド代
- 食事代
- 診断書などの文書料
- 入院中の日用品
- 病院までの交通費
も含めて考えた方がいい。
カードか、現金か

請求書を受け取り、荷物をまとめた。
病棟のエレベーターに乗る前、支払い方法を少し考えた。
この病院にはコンビニが併設されている。ATMで現金を下ろすこともできる。
カードで支払って、ポイントをもらうか。
14万円を超えるなら、それなりのポイントになる。
そんなセコいことを考えながら、1階の自動精算機へ向かった。
結局、現金で払った。
合理的に考えれば、カード払いでも何も問題はない。
それでも、そのときは、支払いを後に残したくなかった。
治療を受け、請求書を受け取り、その場で精算する。
少なくとも今回の入院については、そこで一区切りつけたかったのだと思う。
精算機へ紙幣を入れる。
表示された残額が、少しずつ減っていった。
最後に領収書が出てきた。
145,860円。
ネットで探しても見つけられなかった金額が、自分の手元に残った。
初回入院で分かったこと
精算を終え、自動ドアから外へ出た。
これから2クール目、3クール目と治療は続いていく。
初回投与を終えた安心はあった。
一方で、次も同じ症状が出るのか。回数を重ねるごとに副作用が強くなるのか。その不安は、まだ残っていた。
時計を見ると、11時になろうとしていた。
4泊5日の入院だった。
長い入院ではない。
それでも、なぜかもっと長くそこにいたような感覚があった。
初めて抗がん剤が身体に入った。
冷たいものに触れて、しびれた。
ストーマから、普段とは違う時間に排泄が続いた。
夜中に鼻水が止まらなくなった。
しゃっくりは6時間続いた。
その一つひとつを確認するための入院だった。
そして最後に残ったのが、145,860円と書かれた領収書だった。
この金額が高いのか、安いのか。
それは、置かれている状況によって変わる。
ただ、これから同じ治療を受ける人が、初回入院にどの程度の費用を用意すればいいのか調べたとき、ひとつの具体例にはなると思う。
自分が入院前に知りたかった数字を、ここに残しておく。
※この記事は、筆者個人がCAPOX療法1クール目の入院で実際に支払った費用の記録です。医療費、自己負担限度額、食事療養費、差額ベッド代などは、加入している健康保険、年齢、所得区分、医療機関、入院日数、病室の種類によって異なります。費用に関する具体的な確認は、医療機関の医事課または加入している保険者へお問い合わせください。
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