道は、まだ北へ続いている。

直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、写真や音楽のこと。思いつくまま、ここに書いています。
直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、
北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、
写真や音楽のこと。
思いつくまま、ここに書いています。

ストーマとツーリングの食事|食べる量とタイミングの工夫

食べたい。けれど、帰り道がある。

ツーリング先で食べるものは、旅の楽しみのひとつだ。道の駅に立ち寄れば、焼き鳥やフランクフルトの匂いが流れてくる。ハンバーガーや手羽先が並んでいることもある。

どこの道の駅にも、たいていキッチンカーが停まっている。

黄色いキッチンカー「長万部ラケット」とホットドッグの看板

昔は、今ほど見かけなかった気がする。観光客が並んでいることもあれば、地元の人が慣れた様子で注文していることもある。

メニューは、その土地ごとに少しずつ違う。ジンギスカン串、ザンギ、揚げたてのコロッケ。立ち寄るたびに、選択肢が増えているように感じる。

匂いだけでも、旅情がある。

ヘルメットを脱ぎ、ベンチに腰を下ろして、湯気の立つ食べ物を眺める。走ってきた距離や風の冷たさも、その匂いの中で少しだけほどけていく。

以前なら、ほとんど迷わなかった。

けれど、ストーマになってからは、食べたあとのことを考えるようになった。

私は、右側に横行結腸ストーマがある。私の場合、固形物を食べると腸が動き、そのまま排出につながることが多い。

もちろん、毎回同じではない。それでも、バイクで走っているときに排出が始まると、車のときより気を使う。

車なら、それほど気にしない。荷物も多く積めるし、身体の自由もある。好きなものを食べ、好きなものを飲む。

だが、バイクでは話が違う。

このあとも、まだ走らなければならない。ストーマ袋が膨らんでも、すぐに停まれるわけではない。トイレも、都合よく見つかってはくれない。

だから、食べたいものを我慢することがある。

特に手を伸ばさなくなったのは、肉系の食べ物だ。焼き鳥、ハンバーガー、手羽先、フランクフルト。

匂いにつられて立ち止まりそうになる。それでも、帰り道のことを考えて我慢する。

牛乳やヨーグルトも、なんとなく避けている。

飲めば必ず何かが起きるわけではない。それでも、乳製品というだけで慎重になる。ソフトクリームも、同じ理由で選ばない。

理屈になっているようで、なっていない気もする。

それでも、バイクの上では、少しでも安心できる方を選びたくなる。

その代わり、飲み物を選ぶ。

水。コーヒー。お茶。

この頃は、冷たいか温かいかで、大きく変わる感じはなかった。

道の駅には、その土地の名前が付いたコーヒーや、地元で作られた飲み物が置かれていることがある。

テイクアウトのコーヒー。ペットボトルのトマトジュース。りんごジュース。

食べ物は我慢しても、飲み物なら選べる。地元のトマトジュース一本でも、何も買わずに帰るよりはいい。

肉も、乳製品も、家に帰ってからでいい。

バイクを降り、シャワーを浴びて、装具の状態を確認する。それから、落ち着いて食べる。

ご当地のケーキやパンなど、良さそうなものがあれば、持ち帰って妻や娘と食べるようにしている。

新鮮な朝採り野菜は、妻に調理してもらう。名産のジャムやシロップは、スムージーを作るときに使っているようだ。

北海道産てんさい100%「てんさい黒みつミルクジャム」の瓶

スムージーは、癌になってから作るようになった。栄養のことを考えてくれているのだと思う。

ツーリング先で、何も食べられないわけではない。ただ、以前のように、何も考えず注文することはなくなった。

目的地までの距離だけではなく、食べてから家までの時間も考える。

少し不自由ではある。

それでも、道の駅で選んだ一本のコーヒーが、その日の景色と一緒に記憶に残ることもある。

食べたいものは、家に帰ってからでいい。

帰り道まで無事に走って、それからゆっくり食べる。

今は、それがいちばんうまい。


※この記事は、私自身の身体の反応に基づく体験の記録です。ストーマの種類や状態、食べ物に対する腸の反応には個人差があります。食事や排出の変化に不安がある場合は、主治医、ストーマ外来、管理栄養士などへご相談ください。

 

 

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