道は、まだ北へ続いている。

直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、写真や音楽のこと。思いつくまま、ここに書いています。
直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、
北海道を走っています。
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写真や音楽のこと。
思いつくまま、ここに書いています。

CAPOX療法1クール目・休薬期間|薬を飲まない朝

カペシタビンは、2週間の服用を終えると、1週間の休薬期間に入る。朝と夜。毎日続いていた薬が、そこでいったん止まる。

なぜ2週間飲んで、1週間休むのか。

治療のスケジュールとして決められていることは分かっている。それでも患者側からすると、「薬を飲まなくていい期間」というものが少し不思議に感じる。

細かな理由まで、すべて理解しているわけではない。今は、決められた通りに飲み、決められた通りに休む。それでいいと思っている。

治療ダイヤリー

毎朝、毎晩、薬を飲むたびに、病院からもらった「治療ダイヤリー」に記入してきた。薬を飲んだ欄に○をつけ、症状についても一つずつ確認していく。

体温。吐き気。排便回数。腹痛。口内炎。食欲不振。しびれ。喉の違和感。むくみ。めまい。

2週間で、朝と夜を合わせて28回。その頃には、食事を終えると自然にダイヤリーへ手が伸びるようになっていた。

休薬期間に入り、その作業がなくなった。

夕食を終えて、いつものように棚からダイヤリーを取り出そうとして、

今日は書かなくていいのか。

と気づいた。

最初は、単純に楽になったと思った。ところが、実際に書かなくていい夜を迎えてみると、何かが足りない。毎日決まった項目を確認することで、自分の体調を確かめていたらしい。

書かなくていいはずなのに、書かない方が少し落ち着かない。不思議なものだった。

治療ダイヤリーとペン、机の引き出しの中

ダイヤリーは、机の引き出しにしまった。2クール目が始まれば、また毎日開くことになる。

冷たいものに、もう驚かない

オキサリプラチンを投与した直後は、冷たい水に触れるだけで指先にしびれが走った。1週間後には、その反応もかなり弱くなっていた。休薬期間に入った今は、ほとんど気にならない。

洗い物をしていて、ふと気づいた。何も考えずに蛇口をひねっていた。少し前までは、水に触れる前に温度を確かめていた。その一手間を、いつの間にか忘れていた。

冷たい飲み物も同じだった。喉の奥がピリッとすることもなく、普通に飲み込める。

「治った」と意識したというより、気にしなくなっていたことで、戻っていたことに、あとから思い当たった。

点滴をした腕の注射部位にも、もう痛みはない。

元に戻った、ストーマの調子

ストーマの排出にも多少の変化があった。投与後は、水分の多い便が続いていた。休薬期間に入った今は、それも落ち着いている。少なくとも排出の状態については、CAPOX療法を始める前に近いところまで戻ったように感じる。

ストーマがあると、便の状態を毎日目で確認することになる。だからこそ、こういう変化は分かりやすい。治療前とは違う。そして、また戻っていく。

食欲にも、大きな変化はなかった。いつも通りの量を、いつも通りに食べている。

身体の中で何かが起きていることを、ストーマが見せてくれているようでもあった。

集中力は、とっくに戻っていた

仕事中の集中力は、投与から5日ほどでほぼ元に戻っていた。休薬期間に入ったからといって、そこからさらに大きく変わった感じはない。パソコンの画面に向かっていて、気づけば1時間が過ぎていたこともある。会議中に話の流れを見失うことも、もうなかった。

投与直後には、車を運転していて「これは少し危ないかもしれない」と感じるほど頭がぼんやりしていた。それが今はない。

戻るものは、休薬を待たずに、すでに戻っていた。

薬を飲まない朝

休薬に入れば、身体がはっきり軽くなるのかと思っていた。けれど、実際には大きな変化はなかった。冷感刺激も、集中力も、ストーマの排出も、休薬期間に入る前から少しずつ戻っていたからだと思う。

変わったのは、朝だった。食事を終えても、カペシタビンを飲まなくていい。薬を用意する必要もない。治療ダイヤリーに○をつける必要もない。ほんの数分のことなのに、いつもあったものがない朝は少し不思議だった。

副作用が強く出た日の記録も、もちろん治療の記録だ。でも、何も起きなかった日も同じように残しておきたい。休薬に入った途端に身体が軽くなる人もいるかもしれない。

私の場合は、そうではなかった。気づかないうちに、少しずつ元に戻っていた。それが、1クール目の休薬期間だった。

2クール目のこと

1クール目を終えて、2クール目への気持ちは少し楽になった。何も分からなかった最初の一回とは違う。

どんな副反応が出たのか。何日くらい続いたのか。何をすれば少し楽になったのか。一度経験した分だけ、次に何が起きるかを想像できる。

もちろん、2回目も同じ経過になるとは限らない。不安がなくなったわけでもない。

それでも、

一度ここまで来た。

その事実は、次の治療への構えを少し変えていた。

残りは、あと3クール。がんと分かってから、先のことばかり考えていた時期もあった。今は、目の前の1クールずつを数えている。早く全部終わらせてしまいたい。今は、それが一番正直な気持ちだ。


※本記事は、筆者個人がCAPOX療法1クール目の休薬期間に経験した体験記録です。副作用の種類や程度、症状が続く期間、回復の経過には個人差があります。治療中の症状や体調の変化については、主治医や医療スタッフへご相談ください。

 

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