北海道は、全国的に見れば気温の低い地域だ。それでも七月も半ばを過ぎると、札幌でも30度近くまで気温が上がる日が増えてくる。
今年の夏、その暑さとともに気になり始めたのが、ストーマ装具を貼っている部分の皮膚だった。
装具をつけていると、なんとなくかゆい。我慢できないほどではないけれど、面板の下なので簡単に掻くこともできない。気になり始めると、これがなかなか厄介だった。
装具を交換するとき、いつものように剥離剤を使って面板を外してみる。すると、粘着部分に沿うように皮膚が赤くただれていた。
暑くなる前には、ここまで気になることはなかった。原因が汗や蒸れなのか、それとも別の刺激なのかは分からない。ただ、時期を考えると、まず頭に浮かんだのは夏の暑さだった。
必要なときに、手元になかった
赤くなった皮膚を見て、何か対策をした方がよさそうだと思った。
そういえば、以前ストーマ用のパウダーのサンプルをもらったことがある。しかし、もう残っていなかった。皮膚に何の問題もなかった頃、「こういうものなのか」と面白半分で使ってしまい、とっくの昔に使い切っていた。
まさか、本当に必要になったときに無いとは思わなかった。少し後悔した。
液体タイプの皮膚被膜剤があることは以前から知っていたので、とりあえずネットで購入することにした。ただ、こういうものは肌との相性もあるだろう。ひとつだけ買って合わなかったら困る。そこで最初から二つのメーカーの製品を買ってみることにした。

厳密に比較するために買ったわけではない。自分の皮膚にはどちらが使いやすいのか、それくらいは試してみたかった。
選んだのは
- Coloplast「ブラバ 皮膚被膜剤スプレー」2,189円(税込)
- アルケア「リモイスコート 30mL(17711)」1,950円(税込)2026/8/18価格
まずはブラバを使ってみた
最初に使ったのは、ブラバ皮膚被膜剤スプレーだった。なぜこちらを先に選んだのかと聞かれても、特に理由はない。なんとなく、である。
使用方法を見ると、ストーマ周囲の皮膚から10cmほど離し、均一にスプレーするようになっている。いつものように装具を剥がし、シャワーでストーマ周囲を洗った。水分をしっかり拭き取って乾かしてから、赤くなっている部分を含め、ストーマの周囲へスプレーしてみる。
ブラバはエアゾール式だ。最初はもっと勢いよく噴き出すのかと思っていたが、実際にはそれほど強くない。噴射する場所を確認しながら、じっくり周囲へ散布できる。
なかなか使いやすいと思った。
スプレーしたあとは、乾くまで待ってから面板を貼る。ここは実際に使うまで少し勘違いしていた。「速乾」と聞くと、吹きかけたらすぐ乾くような印象を持っていたが、自分が使った感覚ではそこまで一瞬ではない。今回の夏場でも、余裕をみて3分くらいは待ちたい。冬なら室温などによって、もう少しかかるかもしれない。
急いでいると早く装具を貼りたくなるところだが、ここは少し我慢する。乾いたことを確認してから、いつものように面板を貼った。
かゆみが、なくなった
その後、不思議なことが起きた。
あれだけ気になっていたかゆみが、なくなった。
最初は「かゆみ止めのような成分でも入っているのだろうか」と思った。ただ、皮膚被膜剤は、かゆみ止めの薬として使うものではない。皮膚の表面に被膜を作り、装具や排泄物などによる刺激から皮膚を守るためのものだ。
では、なぜかゆみがなくなったのか。自分には分からない。それでも、自分の場合はブラバを使い始めてから、あれだけ気になっていたかゆみを感じなくなった。とにかく、それだけでもかなり楽になった。
もうひとつ、少し気になっていたことがある。皮膚に被膜を作った上から面板を貼っている。となると、次の交換では剥がしにくくなったりしないだろうか。
少し身構えながら、いつものように剥離剤を吹きかけて面板を外してみた。感覚としては、ほんの少しだけ剥がしにくくなった気がする。ただ、困るほどではなかった。剥離剤をいつもより少し多めに吹きかければ、問題なく剥がせた。
そして皮膚を確認する。赤いただれは、見たところあまり変わっていなかった。
ただ、痛みはない。かゆみもない。出血しているわけでもない。見た目だけならまだ気になるが、少なくとも不快感はかなり減っている。
皮膚被膜剤を使ったから治った、とまでは言えない。赤みは残っているので、そのまましばらく様子を見ることにした。
次はリモイスコート
ブラバは、その後も二、三回の装具交換で続けて使った。かゆみは再発していない。
そこで、せっかくもう一種類買ってあるので、今度はアルケアのリモイスコートを使ってみることにした。
リモイスコートは乳白色をしている。使う前によく振らないといけない。
リモイスコートは、ブラバとはスプレーの構造が違う。ブラバがエアゾール式なのに対して、こちらはトリガーを引いて噴霧するタイプだ。実際に使ってみると、必要なところへ少しずつ吹きかけたい場合は、リモイスコートの方が液量を調整しやすいように感じた。
乾くまでの時間については、両方に大きな違いは感じなかった。とはいえ、ストップウォッチで計っているわけではない。スプレーしたあと、しばらく時間を置いて、指先で表面をツンツンと触ってみる。べたつきがなくなったのを確認してから、面板を貼っている。
かなり原始的な確認方法だが、今のところこれで困っていない。
リモイスコートに替えてからも、かゆみは再発しなかった。剥がしやすさについても、ブラバとの大きな違いは感じていない。
夏は一本、手元に置いておく
自分が使ってみた範囲では、ブラバもリモイスコートも問題なく使えている。皮膚の状態は人によって違うし、厳密な条件を揃えて比較したわけでもない。だから、どちらが優れているという話ではないと思う。
夏になるまで、皮膚被膜剤を常備しておこうとは思っていなかった。
でも、一度かゆみを経験してしまうと考えが変わった。面板の下は見えない。かゆくても掻けない。そして装具を剥がしてみるまで、皮膚がどうなっているのか分からない。
少なくとも自分の場合、皮膚被膜剤を使い始めてからかゆみは出ていない。赤みそのものはまだ残っているので、これからも状態を見ていくつもりだ。もし赤みが広がったり、痛みやかゆみが再び出たり、出血などが見られるようなら、自己判断を続けずストーマ外来で相談する。
北海道の夏は短い。それでも、ストーマをつけて過ごすには十分暑い。
今年からは、夏の間だけでも皮膚被膜剤を一本、手元に置いておこうと思っている。
あのパウダーのサンプルも、取っておけばよかった。
※この記事は、私自身のストーマ生活で経験した皮膚の赤みやかゆみと、その際に行った対策を記録したものです。皮膚トラブルの原因や適切な対応は状態によって異なります。赤みや痛み、かゆみなどが続く場合は、ストーマ外来や医療機関へ相談してください。