道は、まだ北へ続いている。

直腸がんで、ストーマのある体になった。
仕事に戻り、バイクにまたがって、北海道を走っています。
治療のこと、暮らしのこと、写真や音楽のこと。思いつくまま、ここに書いています。
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写真や音楽のこと。
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腰下のカスタマイズ|Red WingとNudie Jeans

バイクに乗るようになってから、足元と脚まわりを見直したくなった。

以前なら、靴は歩きやすければよく、デニムもサイズが合っていればそれでよかった。だが、ハーレーに乗り始めると、服装も車体の一部のように思えてくる。

だからといって、頭の先から足元まで、いかにもハーレー乗りらしく揃えたいわけではない。普段着の延長に、バイクに乗るための少しだけ丈夫なものを加えたかった。

ブーツとデニムは、別々の日に買いに行った。

バイクウェア専門店では、格上を断った

ブーツを買いに行く前から、選ぶモデルは決めていた。

Red WingのIron Ranger。

事前にWebで見て、形も色も気に入っていた。別のモデルと比較するつもりは、あまりなかった。

バイクウェア専門店でIron Rangerを見ていると、店員さんにこう言われた。

「Wescoの方が格上ですから、そのうち欲しくなると思いますよ」

Wescoの名前は知っていた。ハーレー乗りが好む、頑丈で本格的なブーツという印象だった。

ただ、価格もRed Wingより一段上になる。

私は正直に聞いてみた。

「道の駅なんかで、他人から見てWescoだと分かるものですか」

店員さんは、少しも迷わず答えた。

「それが、分かる人は多いんですよ。ハーレーに乗っている人だと、特に」

なるほど、と思った。

バイクのマフラーやサスペンションと同じなのだろう。興味のない人には全部同じに見えるが、好きな人には違いがすぐ分かる。

それでも、自分にはRed Wingで十分だった。

いや、十分というより、最初からIron Rangerが欲しかったのだ。上に何があるかを知っても、欲しいものは変わらなかった。

高い方が格上だとしても、それが自分にとって正解とは限らない。

Iron Rangerを履き、店内を少し歩いた。

サイズは二つ試した。やや余裕のある方と、ジャストサイズ。

どちらも履ける。決め手がなく、店員さんに聞いてみた。

「そこは完全に好みですね」

まあ、そうだよなと思った。

自分の足なのだから、最後は自分で決めるしかない。以前、大きめの靴を選んで、靴の中で足が動き、かえって靴ずれしたことがあった。

今回はジャストサイズにした。

8111は、税込49,800円だった。

革は、まだ硬かった。足首を動かすたびに、新しい革靴特有の抵抗がある。

馴染むまで、どれくらいかかるのか聞いてみた。

「三か月くらいですかね」

手入れについても聞いた。専用のオイルはあるが、今はまだ必要ないという。

「三か月後くらいに、また来てください」

Red Wing Iron Rangerのブーツ

ブーツを買ったその日に、何かを塗らなければならないと思っていた。だが、まずは履くことらしい。

買ったばかりの道具は、すぐに完成するわけではない。

履いて、歩いて、バイクに乗る。その時間も含めて、自分の物になっていくのだろう。

服屋では、選んでもらうことにした

デニムを買いに行った店は、思っていたより狭かった。

棚という棚に服やアクセサリーが並び、その多くがレディースに見えた。感覚では六対四、あるいはそれ以上だったかもしれない。

どこからがメンズなのか、正直よく分からなかった。

店員さんは、自分と同じくらいの年齢に見える女性だった。

「メンズは、この辺ですか」

と聞くと、こちらです、と案内してくれた。

デニムの棚には、いくつものモデルがきれいに畳まれていた。だが、畳まれてしまうと、どれが細く、どれが太いのか、私にはほとんど分からない。

サイズの数字も並んでいる。形の名前もある。

見ているうちに、面倒になった。

こういうときは、詳しい人に選んでもらうに限る。

服に限らず、私は最後だけ自分で決める方が性に合っている。最初から全部を自分で比較するより、条件を伝えて候補を絞ってもらう方が楽だ。

身長と体重。いま履いているチノパンのサイズ。

予算は四万円まで。長く使いたいこと。用途はバイクであること。

そして、お腹の手術をして退院したばかりなので、腹まわりに余裕が欲しいことも伝えた。

ブランドは何でもいい。名前にはこだわらない。

言いたいことを全部言って、あとは店員さんが選んだものを試すことにした。

楽である。

何本か持ってきてもらい、その中から一本を選んだ。細すぎず、太すぎず、Iron Rangerにも合わせやすい形だった。

Nudieというブランドだと聞いた。有名なブランドだそうだ。ストレッチが効いていて、履き心地もいいという。

選んだのは、Lean Dean(Slim Tapered)というフィットライン。色はNew Ink Blue。サイズはW34、L30にした。

税込37,800円だった。

Nudie Jeansのデニムとレザーパッチ

驚いたのは、その後だった。

店員さんが私の足元を見て言った。

「Red WingのIron Rangerでしたら、こちらが合うと思います」

モデル名まで言い当てられた。

私は一瞬、返事が遅れた。

なぜ分かるのだろう。

そのとき、バイクウェア専門店で言われた言葉を思い出した。

Wescoは、見る人が見れば分かる。

あの言葉の意味が、今度は逆の立場で腑に落ちた。

私はWescoを見分けられない。だが、服や靴を毎日見ている人には、Iron Rangerも一目で分かる。

アパレル店員、恐るべしである。

バイクに乗るための服

ブーツとデニムを買ったからといって、急に格好のいいライダーになれるわけではない。

Iron Rangerはまだ硬い。デニムも、まだ自分の身体の形にはなっていない。

それでも、バイクに乗るときに何を身につけるかを考える時間は、以前より楽しくなった。

病気の前は、服にここまで時間をかけなかった。今は、好きな服で乗りたいと思う。

もちろん、安全装備が大切なのは分かっている。

この記事を読んだライダーからは、きっとこう言われるだろう。

「プロテクター入りのパンツを履け」

その通りだと思う。

ただでさえ手術をした身体である。転倒したときのことを考えれば、守れるものは守った方がいい。

分かっている。

分かっているのだが、そこは分かってくれ、としか言いようがない。

今のところ私は、Red WingとNudie Jeansを選んだ。

それが正解かどうかは分からない。ただ、バイクを降りたあとも、そのまま歩いていける格好ではある。

Iron Rangerの革が柔らかくなって、デニムに少し色が移っていく頃には。
たぶん何も考えずに履いているのだろう。


※本記事は、筆者個人の服装選びと着用体験を記録したものです。バイク乗車時の安全装備や、手術後の衣服の選び方については、身体の状態に応じて医療従事者や専門店へご相談ください。

 

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