北海道に住んでいると、地震は決して遠い話ではない。
北海道胆振東部地震のときに起きたブラックアウトは、今でもよく覚えている。停電でガソリンスタンドが使えず、給油ひとつ思うようにできなかった。
最近も、全国各地で自然災害のニュースを目にすることが増えた。
永久ストーマになった今、もし自分が被災したらどうするのか。
改めて考えてみることにした。
ツーリング用とは別に、避難用を作る
ストーマの交換セット自体は、以前から持っている。
バイクでツーリングへ出るときのために作ったもので、Harley-Davidsonのサイドバッグに常に入れっぱなしにしてある。
けれど、避難用として自宅から持ち出すセットは作っていなかった。
順番としては、こちらの方が先だったかもしれない。
そう思って、もう1セット用意することにした。

もし夜中に大きな地震が来たら、どうなるだろう。
停電して、部屋は真っ暗。家具や物が倒れ、いつものように家の中を歩けないかもしれない。
そんな状況で、
「交換セットはバイクに入っているから、車庫まで取りに行こう」
となるだろうか。
少なくとも、確実に取りに行けるとは思えない。
考えてみれば、ツーリング用の交換セットは、外出先で漏れたり、交換が必要になったときのためのものだった。
避難生活に備えたものではない。
中身がほとんど同じでも、役割が違う。
だから今回は兼用せず、避難用として独立したセットを作ることにした。
2〜4週間分をひとつの目安にした
どれくらい用意しておけばいいのか。
そこで、日本オストミー協会の災害対策を確認した。
非常持出袋には、避難所での装具交換に必要な2〜4週間分のストーマ装具・用品、ゴミ袋などを準備することが勧められている。
あわせて、面板をあらかじめ使用サイズに開けておくこと、水が使えない場合への備え、装具を一か所だけではなく分散して保管することなども案内されていた。
今回はこれをひとつの目安にしながら、自分の交換ペースと生活環境に合わせて中身を決めることにした。
2週間で済むのか、1か月になるのか。
それは実際に被災してみなければ分からない。
ストーマ装具は、自分にとって生活そのものに直結するものだ。避難先ですぐに、いつもの装具が手に入るとも限らない。
そこで今回は、約1か月を意識して装具を10枚入れることにした。
自分の普段の交換ペースを考えれば、当面は対応できる量になる。

緊急避難用の交換セット
今回用意したのは、次の一式。
- 携帯用専用バッグ(Coloplast/入会特典)
- デオファイン潤滑消臭剤 250ml(アルケア/品番20881)1本
- シルティ 水のいらないもち泡洗浄 180ml(Coloplast/品番9401)1本
- センシュラ ミオ1 ワイド開放型 透明 10-55mm(Coloplast/品番10481)10枚
- Adapt はがすスプレー 50ml(ホリスター/品番7737)1本
- ダンサック トレイシール(ホリスター/品番072-98)1パック
- Brava 皮膚被膜剤スプレー(Coloplast)1本
- ストーマ装具が臭わない袋(アルケア)10枚
- ストーマ用ハサミ(Coloplast)
- ポケットティッシュ 2個
基本的な中身は、ツーリング用のセットとほとんど変わらない。
大きく違うのは、装具とゴミ袋の数だ。
ツーリング用では、それぞれ1枚ずつしか入れていない。外出先で一度交換できればいい、という前提だからだ。
避難用には、それぞれ10枚。
「一回交換できればいい」と「いつ家に戻れるか分からない」では、同じ交換セットでも必要な量はまったく違う。
面板は、あらかじめ切っておく
装具10枚は、そのままバッグに入れるのではなく、普段使っているサイズに面板をあらかじめカットしておくことにした。
普段なら交換するときにハサミで切ればいい。
けれど、災害時も同じようにできるとは限らない。
停電しているかもしれない。避難所の狭い場所で交換することになるかもしれない。落ち着いてサイズを確認しながら面板を切れる環境とは限らない。
それなら、最初から使える状態にしておいた方がいい。
バッグから取り出して、そのまま交換に使える。
ハサミもセットには入れてあるが、こちらは予備として考えることにした。

もうひとつ、装具そのものとは別に確認しておきたいものがある。
オストメイトカードと身体障害者手帳だ。
避難先で自分がオストメイトであることや、普段使っている装具について説明しなければならない場面があるかもしれない。
自分で話せる状態とも限らない。
交換用品だけではなく、自分のストーマについて他の人に伝えられるものも、避難時に持ち出せるようにしておく。
これも今回、あわせて確認しておくことにした。
水が使えない前提でも考えた
もう一つ考えたのが、水だった。
普段は装具を剥がしたあと、シャワーでストーマ周囲を洗っている。
しかし、災害で断水すれば、シャワーはもちろん、普段どおりの方法でストーマ周囲を洗えない可能性がある。
そこで入れたのが、水のいらないもち泡洗浄「シルティ」。
これはツーリング用のセットにも入れているものだ。
ツーリングでは、外出先で水を使いにくいときのため。
災害用では、そもそも水が使えないかもしれないときのため。
同じ製品でも、入れている理由が少し違う。
被災してから代わりの方法を考えるより、普段から使ったことのある製品を入れておいた方が、自分としても安心できる。
どこに置くかも決めておく

セットを作っても、災害時に取り出せなければ意味がない。
保管場所は、居間の戸棚の上にした。
玄関に置くことも考えたが、被災時に必ず玄関から避難できるとは限らない。
普段からよく目に入り、自分だけでなく家族にも場所が分かるところを選んだ。
中身と保管場所は、妻にも伝えてある。
自分で持ち出せるとは限らないからだ。
そして考えてみると、自宅の避難用セットとは別に、バイクのサイドバッグにもツーリング用セットが入っている。
結果として、交換用品を一か所だけに置かない形にもなった。
中身は似ている。
でも、使う場面はまったく違う。
だから、2セットあることに意味がある。
使わないに越したことはない
ツーリング用のセットについて書いたときにも、同じことを書いた。
使わないに越したことはない。
できれば、このバッグを避難のために持ち出す日は来てほしくない。
それでも、必要になったときに何もなければ、もっと困る。
ストーマになったことで、災害への備えも一つ増えた。
ならば、今できるうちに準備しておけばいい。
※この記事は、筆者個人が実際に用意した非常持出用の交換セットの記録です。必要な装具の種類や数量、交換間隔は、ストーマの状態や生活環境によって一人ひとり異なります。ご自身の備えを検討する際は、ストーマ外来や医療機関、日本オストミー協会など専門機関の情報も確認してください。